
2026年10月08日
法人経営では、売上や利益だけでなく「いつ、いくら税金を支払うのか」を把握しておくことが重要です。
特に法人は、決算後に法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・消費税など複数の納税が集中する可能性があります。
さらに、事業規模や前事業年度の税額によっては、決算時だけでなく年度途中にも法人税や消費税の中間申告・中間納付が発生します。
売上が伸びている会社であっても、売掛金の回収より先に税金・給与・外注費などの支払いが到来すれば、一時的にキャッシュフローが圧迫されることがあります。
本記事では、法人に特化した年間の納税スケジュールと、納税前に確認しておきたい資金繰りのポイントを解説します。
法人の納税時期は「決算月」を基準に考える
個人事業主とは異なり、法人は会社ごとに事業年度を設定しています。
そのため、法人税などの納付時期は「○月に納税する」と一律に決まっているわけではなく、基本的には決算月を基準に考えます。
原則「事業年度終了日の翌日から2か月以内」
例えば、一般的な1年間の事業年度であれば次のようになります。
| 決算月 | 法人税等の納付時期の目安 |
|---|---|
| 3月決算 | 5月末頃 |
| 6月決算 | 8月末頃 |
| 9月決算 | 11月末頃 |
| 12月決算 | 翌年2月末頃 |
※申告期限の延長制度を利用している場合や、期限が土日祝日に該当する場合などは異なることがあります。
法人が把握しておきたい主な税金
| 税金 | 主な納付時期 | ポイント |
|---|---|---|
| 法人税 | 原則、決算後2か月以内 | 法人所得に対して課税 |
| 地方法人税 | 原則、法人税と同時期 | 国税として申告・納付 |
| 防衛特別法人税 | 原則、法人税と同時期 | 2026年4月1日以後開始事業年度から |
| 法人住民税 | 原則、決算後2か月以内 | 都道府県・市区町村へ納付 |
| 法人事業税 | 原則、決算後2か月以内 | 地方税 |
| 消費税・地方消費税 | 原則、課税期間終了後2か月以内 | 課税事業者の場合 |
| 源泉所得税 | 原則、支払月の翌月10日 | 給与等を支払う法人は要確認 |
1.法人税
法人税は、法人の所得に対して課税される国税です。
確定申告書の提出期限は原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。
原則として5月末頃までに法人税の申告・納付を行うことになります。
利益が大きく増えた年度は、当然ながら納税額も大きくなる可能性があります。
特に売上が急成長している会社では、帳簿上の利益だけではなく、決算後に実際に支払う税額を早めに試算しておくことが重要です。
2.2026年から「防衛特別法人税」にも注意
2026年の法人税務で新たに確認しておきたいのが、防衛特別法人税です。
2026年4月1日以後に開始する事業年度から、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、防衛特別法人税の納税義務者となります。
防衛特別法人税は、一定の基準法人税額から年500万円の基礎控除額を差し引いた課税標準法人税額に対して、原則4%の税率で計算されます。
また、税額が0円となる場合であっても、対象となる法人については確定申告書の提出が必要とされています。
3.法人住民税・法人事業税
法人が決算後に支払う税金は、国へ納める法人税だけではありません。
- 法人都道府県民税
- 法人市町村民税
- 法人事業税
- 特別法人事業税
などの地方税もあります。
国税・地方税・消費税などを合計し、決算後にどの程度の現預金が必要になるのかを確認しましょう。
4.法人の消費税・地方消費税
消費税の課税事業者である法人は、原則として課税期間終了の日から2か月以内に、消費税・地方消費税の確定申告を行います。
多くの法人では事業年度と消費税の課税期間が一致するため、決算後は、
といった複数の納税が近いタイミングで発生することになります。
消費税は売上代金と一緒に入金されるため、日常の運転資金として使用してしまうと、決算時に納税資金が不足する原因になりかねません。
消費税は「中間納付」にも注意
一定額以上の消費税を納付している法人では、年1回の確定申告だけでなく中間申告・中間納付が必要になります。
| 直前の課税期間の確定消費税額※ | 中間申告回数 |
|---|---|
| 48万円以下 | 原則不要 |
| 48万円超~400万円以下 | 年1回 |
| 400万円超~4,800万円以下 | 年3回 |
| 4,800万円超 | 年11回 |
※地方消費税を含まない年税額を基準とします。
売上規模が大きくなるほど、「決算時にまとめて税金を払う」という認識だけでは資金管理が不十分になる可能性があります。
法人税にも中間申告がある
事業年度が6か月を超える普通法人では、一定の場合、法人税についても中間申告が必要です。
法人の場合、決算時だけでなく年度途中にも法人税・消費税などの支出が発生する可能性があるため、年間を通した納税予定表を作成しておくことが重要です。
従業員がいる法人は源泉所得税にも注意
従業員への給与などから源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。
一定の要件を満たし「納期の特例」の承認を受けている場合には、
7月~12月支払分:翌年1月20日
にまとめて納付することができます。
法人が注意したい「利益はあるのに現金が足りない」状態
納税資金を考える際に重要なのが、利益とキャッシュフローは別物という点です。
・3月に1,500万円の売上を計上
・売掛金の入金サイトは60日~90日
・4月~5月に給与・外注費・仕入代金が発生
・5月末に法人税・消費税などの納税が到来
このような場合、会社としては十分な売上を計上していても、売掛金がまだ入金されていないため、手元資金が不足する可能性があります。
売上規模が大きい法人ほど「売掛金」の管理が重要
法人間取引では、商品やサービスを提供したその日に代金が入金されるとは限りません。
「月末締め翌月末払い」「翌々月末払い」など、取引先との契約によって一定の支払サイトが設けられていることが一般的です。
そのため売上が増加すると、同時に売掛金残高も大きくなることがあります。
例えば月商3,000万円で平均回収サイトが2か月なら、単純計算では常時数千万円規模の売掛金が発生することも考えられます。
その一方で、
- 法人税
- 消費税
- 給与
- 社会保険料
- 外注費
- 仕入代金
- 設備投資
などは売掛金の入金を待ってくれるわけではありません。
この「入金までの期間」と「支払い期限」のズレをどのように管理するかが、法人の資金繰りでは非常に重要です。
決算後の納税・給与・仕入・外注費など、
売掛金の入金より先に支払いが発生していませんか?
法人の売掛債権を活用した資金調達についてご相談いただけます。
納税前に確認したい法人の資金繰りチェックポイント
納税資金が不足しそうな場合は早めに対応する
納税資金が不足する可能性がある場合、期限直前になってから対応するのではなく、早い段階で資金調達方法を検討することが重要です。
法人の資金調達方法としては、
- 金融機関からの融資
- 当座貸越
- ビジネスローン
- 売掛債権を活用したファクタリング
などがあります。
それぞれ審査基準・コスト・調達までの期間が異なるため、会社の財務状況や必要時期に応じて選択する必要があります。
特に、すでに確定している売掛債権があり、入金日より前に資金が必要な場合には、売掛債権を早期資金化するファクタリングも選択肢のひとつです。
まとめ|法人の納税スケジュールはキャッシュフローとセットで管理
法人の納税管理で重要なのは、単に「決算日はいつか」を把握することではありません。
法人経営で確認したいポイント
- 決算後2か月以内に大きな納税が発生する可能性がある
- 法人税だけでなく地方税・消費税も考慮する
- 法人税や消費税の中間納付にも注意する
- 2026年4月1日以後開始事業年度は防衛特別法人税も確認する
- 売掛金の入金日と納税日のズレを把握する
売上が順調に伸びている企業ほど、売掛金や納税額が大きくなり、必要となる運転資金も増加する傾向があります。
「いくら利益が出ているか」だけではなく、「いつ現金が入り、いつ現金が出ていくか」を把握することが、安定した法人経営につながります。




